フーンさんの子育て日記B
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これは日本人と結婚して、昨年初めて赤ちゃんを産んだベトナム人女性・フーンさんの半年間の子育てを、日記ふうに綴ったものです。
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* 一ヶ月目、子育てのはじまり *
退院していよいよ本格的な子育てが、これから始まりました。ところでベトナムでは産後一ヶ月までは、シャワーを浴びると体が冷えて良くないと言われていて、どんなに暑くて汗が出てもみんな我慢しています。せいぜい濡れたタオルで体を軽く拭くだけです。
私もみんなが言うようにそれが当たり前と思い(私の姉も産後一ヶ月は、やはりシャワーは全然浴びなかったそうです)、一週間・十日と我慢していましたが、ついに二週間目になってどうにも我慢しきれなくなり、シャワーを浴びてしまいました。
でもシャワーを浴びた後は気分もすっきりして、やはりこのほうがいいわと思い、それからは毎日シャワーを浴びるようになりました。その後も体を洗って気持良くしていたほうが、やはり赤ちゃんにも気持良く接することが出来ました。
こういう考え方は、温かいお湯が出ないシャワーの設備のない田舎などでは直接そのまま冷たい水を浴びるしかなく、体の弱った産後間もない女性にとってはあまり体に良くないことなので、そういう考えが広まったのだろうと思います。
さらにまたこれも昔ながらの方法ですが、母は毎朝七輪に炭を熾して、私のベッドの下にそれを置き、私の体を温めてくれます。七輪の炭の熱でベッドの一番下の板とマットが熱いくらいになったころに、背中とお腹を交互に温めますので、私は毎朝汗だらけになります。これをしないと後々、体が弱くなって支障が出て来ると昔の人は言いますが、その効果のほどはしばらく経ってみないと良く分かりません。
次に私の母はその炭火の熱に手をかざして、しばらく温めた手を今度は赤ちゃんの頭とお腹に当てて何度も繰り返していきます。この動作は赤ちゃんにとっても気持が良いようで、その間はじっと目をつむって寝ています。12月のベトナムも朝はやはり少し涼しいので、温かいものが体を気持良くしてくれるからでしょう。
そして私は練炭以外にも、生姜の根っこに良く似たウコンの根を粉々にして毎日顔や体全体に塗りました。これは産後すぐは皮膚が荒れているので元に戻すためですが、これは近所のおばあさんから教えてもらいました。これをするのとしないのでは、「一年後に皮膚のツヤがずいぶん違って来るよ」とそのおばあさんが言うのでそれを信じて塗っていますが、この粉自体が黄色いので手や体に触れるものも真っ黄色になってしまいました。
そしてさらにその擦ったウコンの黄色い粉を、毎日小匙一杯ずつそのまま飲み込んでいます。これもお産で傷ついた体の回復を早めてくれるんだよと、そのおばあさんが言いました。ほかの人にも話しを聞くと、このウコンは肝臓や胃腸に効能があるそうです。しかしこれも本当にその効果が有るかどうかは、しばらく経たないと良く分かりません。
さらにもっと体に良いのが烏骨鶏(うこっけい)のスープで、これは骨や肉が黒くなった鶏の一種で作ります。全身がカラスのように黒いので、このような名前が付いたのでしょう。
この鳥は古来の中国では、薬膳料理に使われて来た高級食材ですが、このベトナムでは大変安いです。この鳥を材料にして出来たスープも全てが真っ黒で、見た目はあまり美味しくなさそうですが、そのスープを飲んで見ると想像以上に大変美味しく、体がポカポカと温かくなって来ます。
こうして産後一ヶ月の間は私も安静に過ごし、赤ちゃんも毎日ミルクを飲み順調に育って来ました。病院では開かなかった目も、3日目を過ぎると大きい目を少しずつ開けて来るようになり、自分の回りの世界全てを見たいような顔でじっと見つめています。私もその目をじっと・じっと覗いてあげます。
お医者さんの話ではまだこの時期の赤ちゃんの視力は0.01くらいしかなく、回りの景色や人の顔もボンヤリとしか見えないと言いましたが、それでも少しずつ母の顔は覚えていくのだろうと思います。その証拠に顔を近づけると「ニコ〜ツ」とした笑顔をしてくれます。
生まれて一ヶ月目を迎えた時に、病院に身長と体重の測定と予防注射を打ちに行きました。身長が2cm伸びて51cm、体重が4,2kgになっていました。そして誕生一ヶ月目のお祝いと、これからみんなの親戚の一員になることの紹介と、赤ちゃんがこれからも無事に・順調に育ってくれることを神様に祈るために、親戚や友人を呼んで食事会をしました。
赤ちゃん本人はただ乳母車の中で寝ていただけでしたが、私の父や母は大変喜んでくれました。春さんのお父さんやお母さんがここにいたら同じように喜んでくれたことでしょう。ただミルクを与えオムツを代えるだけの毎日なのに、オムツの交換などは最初は30分に1回はしないといけないので毎日がそれに追われ、この一ヶ月が過ぎるのも本当に早いものでした。
つづく
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